カタツムリってとっても可愛いですよね。二本の細く伸びた目に、ゆっくりと進む様は見ているだけでも癒やされ、ペットに飼う人も少なくありません。
しかし、そんなカタツムリに人を殺すほどの力を持った寄生虫がいるとご存知でしたか?小さな子供は色々な生き物に興味を持って捕まえたがりますが、その対象となるカタツムリにも寄生虫がいると思うと非常に怖いですよね。
今回は、そんなカタツムリの危険な寄生虫について詳しくご紹介していきたいと思います。実際に日本でもカタツムリの寄生虫によって死亡者が出ているため、子供さんと一緒にカタツムリの寄生虫について知っておくと良いでしょう。
カタツムリの飼い方はこちら!
カタツムリの寄生虫は人間の脳にも寄生する?
カタツムリに寄生するのは、広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)と言う寄生虫で、人間の体内にも比較的容易に入り込んでしまいます。
寄生生物なので感染などの心配はありませんが、その侵入経路は正に寄生虫ならではのもので、色々な宿主を寄生してきたことがお分かりいただけます。
【広東住血線虫が人間に寄生するまで】
- ドブネズミやクマネズミの肺動脈に寄生
- ネズミの肺動脈内で卵を産み、孵化させる
- 孵化した幼虫は肺から器官、食道を通って胃腸にたどり着き、ネズミの糞と共に体外に排出される
- ネズミの糞をカタツムリが食べて宿主がカタツムリに変わる
- 広東住血線虫が寄生したカタツムリを人間が食べたり、カタツムリが触れて粘液が付着している野菜を体内に取り込むことで宿主が人間に変わる
直接カタツムリ(エスカルゴ)を口にしなくとも、カタツムリが這って粘液が付着した野菜にまで寄生虫が残っているのはとても恐ろしいことですよね。
人間の体内に入った後は、胃壁を破って脊髄へ侵入、そのまま髄液の中を通って脳にまで向かいます。カマキリだと寄生されたハリガネムシに行動を操作(洗脳)されますが、広東住血線虫が人間の脳に入っても操られることはありません。
しかし、そのことが原因で様々な症状が引き起こされてしまうため、広東住血線虫の侵入には充分に注意する必要があります。
カタツムリの寄生虫による症状は?
広東住血線虫は人間の脳までたどり着きますが、脳内では生きていくことができずそのまま脳内で死んでしまいます。しかし、脳内で死んだ広東住血線虫は脳から消滅するわけではなく、当然脳内に残ります。
すると、人間の体は寄生虫の死骸を異物とみなして免疫細胞が働くのですが、このとき免疫細胞が過剰に働きすぎてしまいます。その結果、人間の体にはこれらの症状が現れ、大変危険な状態になります。
【引き起こされる症状】
- 髄膜脳炎症
- 激しい頭痛
- 手足の痺れ
- 嘔吐
- めまい
カタツムリ 寄生虫をもつ種類を画像で紹介!
今回ご紹介している広東住血線虫はアフリカマイマイと言う種類のカタツムリに寄生しており、日本では沖縄本島や宮古島、九州、石垣島や奄美大島に分布しています。
現状は、広東住血線虫はアフリカマイマイからしか見付かっておらず、他のカタツムリには寄生していないものとされています。しかし、念のためカタツムリに触れた際にはしっかりと手を洗うようにしましょう。
もともとアフリカマイマイは、東アフリカのモザンビークやタンザニア付近のサバンナ地域に生息したと言われていますが、食用とするために人為的に様々な場所へ持ち出されました。その結果、現在では東南アジアやインド洋、ハワイ、台湾などなど、世界の様々なエリアに分布しています。
先にお伝えした通り、日本では南の方にしか生息していませんが、今後徐々に本島にも分布域を広げてくる可能性は充分に考えられます。
これがアフリカマイマイと言う種類のカタツムリで、画像で見ていただいてお分かりのようにとても大きいカタツムリです。寄生虫の存在を知らなければ、珍しがった子供達が捕まえてしまうのではないでしょうか。
殻高(殻の大きさのこと、殻長とも言う)は大きなものだと20cm、体調は40cmほどにもなる、世界最大級のカタツムリです。
日本で最も目に付きやすいカタツムリはセトウチマイマイと言う種類のカタツムリで、大きさは御存知の通り3cm前後です。
そのセトウチマイマイの他にも、日本には様々な種類のカタツムリが生息していますが、アフリカマイマイのように大きな種類のカタツムリはいませんので、大きめのカタツムリには近付かないようにするといいでしょう。
カタツムリの寄生虫による被害は?
カタツムリに寄生する広東住血線虫による被害は、日本を含め世界各国で起こっています。外来生物法においても生態系被害防止外来種に指定されており、世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれるほど危険な生物です。
日本でも2007年10月に鹿児島県出水市と指宿市でアフリカマイマイが発見されて以降、駆除作業が進められていますが、駆除が行なわれる前の2000年には沖縄県の米軍基地に住む女の子の死者も出ています。
そんな被害の中でも有名なのがハワイに住む女性のお話で、家の近くの市場で購入した新鮮なレタスやトマト、レモンでスムージーを作り飲んだところ、そのレタスの葉にアフリカマイマイが這った粘液が付着しており寄生虫に侵されたと言うもの。
アフリカマイマイは食用として世界に広がりましたが、寄生虫がいる確率はとても高く、必ず100度以上の温度で3分以上加熱しなければなりません。そうすることで寄生虫は死んでしまうのですが、まさか市場の新鮮な野菜にそんな危険な寄生虫がいるとは夢にも思いませんよね。
彼女も同じように、当初は何かの病気だと思っていたそうです。その後に訪れた病院で原因が判明し、11日間の入院を経て無事に体調が回復しましたが、とても恐ろしい侵入経路だと言うことがお分かりいただけたと思います。
また、この寄生虫に特効薬のような治療法はないようで、アルコールなども効き目がないそうです。
寄生虫の広東住血線虫を体に取り込まないためには、アフリカマイマイのエスカルゴをきちんと加熱したり、生野菜をしっかりと洗ってから口にすることで、ある程度防ぐことが可能だと言われていますので、沖縄や九州の方は特に注意して調理しましょう。
カタツムリの寄生虫 まとめ
いかがだったでしょうか?身近に存在するカタツムリに、このような危険な寄生虫がいることに驚かれた方も少なく無いと思います。
特に、小さな子供さんの居るご家庭であれば、誤ってアフリカマイマイに触れてしまい、そのまま寄生虫を体内に取り込む危険性も考えれられます。寄生虫を取り込んでしまってからでは遅いので、しっかりと危険な生き物であることを事前に教えて対策しておきましょう。
また、最近では韓国コスメから「かたつむりクリーム」や「かたつむりパック」なるものが販売されていますが、安全性は間違いないのでしょうか・・・。アフリカマイマイを原料として使っているか知りませんが、寄生虫の存在を知った後だと目や口からの取り込みが心配で使いにくいですね。
それらの使用を検討されている方は、きちんと加熱処理されているのか、原料にアフリカマイマイが使われていないかと言うことを忘れず確認しましょう。
こちらでは、カマキリを洗脳すると言われる寄生虫のハリガネムシについても紹介しています。よければ併せて参考にしてください。
当ブログでは、この他にもカタツムリに関する内容を複数紹介しています。良ければ併せて参考にしてください!
コメント