夏の夜に聞こえてくる「ジージー」と言う鳴き声。音の発生源を辿っていくと土の中?「これってもしかして蚯蚓(ミミズ)の鳴き声?」
土の中から姿を見せず鳴いている声に、そう思ってしまうのも無理はありません。実際に多くの方がミミズの鳴き声だと思っている声は、実はミミズとは異なる全く別の生き物です。
こちらの記事では、そんな土の中から聴こえる謎の鳴き声の正体を動画とともに紹介していきます。
ミミズの鳴き声はケラだった?動画で鳴き声を聞いてみよう!
ミミズでないのであれば、土の中から聴こえる謎の声の正体は誰のものなんでしょうか?
実は、声の主はケラと言う生き物です。ミミズと同じように土の中で生活をするケラは、鳴き声をあげる際も土の中から声を出します。それを聞いた昔の人は、その鳴き声が土の中のミミズのものだと勘違いしたようで、現在もミミズの鳴き声だと思っている人が多いのだとか。
よく考えてみれば、あんなに大きな音をミミズが出せるとは考えにくいですよね。ミミズの鳴き声だと思われているケラの鳴き声は、こちらの動画から聴くことができます。ちなみに、ミミズには声帯がなく声自体を発することができません。
夏のミミズの泣き声 ジーっと鳴くケラの正体とは?
ケラという昆虫を知らない人も多いでしょう。実際に私も、大人になるまで全く聞いたことのないつもりでいた生き物でした。漢字では螻蛄と書かれるケラは、一般的にはオケラと呼ばれることのほうが多くあります。オケラ・・・なんだか聞いたことがありますよね。
「ミミズだーってオケラだーって、アメンボだーって、みんなみんな生きているんだ友だちなーんだ♪」
そうです。誰もが知る童謡「手のひらを太陽に」の中に登場する生き物のひとつ、それがケラ(オケラ)なんです。子供の頃には気にもかけなかった歌詞の一部の虫が、ミミズの声の正体だったと言う訳です。
そんなケラは先にもお伝えした通り、主に土の中で生活しています。ですので、その姿を見たことがある人は非常に少ないと思います。まずは、動画でどのような姿形をしているのか見てみましょう。
容姿はまるで、ザリガニとモグラを足したような感じです。あまり気持ちのいい見た目ではありませんが、中にはかわいいと言う人も居て、ペットとして飼うひとも少なくありません。体長は30mm~40mmの個体が多く、バッタやコオロギ、キリギリスの仲間に分類されます。
ちなみに、よく漫画などで「この虫けらが!」と言うセリフがありますが、ここでの「けら」は現在紹介している「ケラ」とは何の関係もありません。あくまで「虫けら」とは虫全般を指しています。
虫の定義についてはこちらでも紹介していますので、併せて参考にしてください。
ミミズがジージーと鳴いていると勘違いした原因は?
冒頭でもお伝えした通り、昔の人は土の中から聴こえる「ジージー」と言う鳴き声を、同じ土の中で生活するミミズのものだと勘違いしたことが主な原因だと考えられます。
「夏になるとミミズやカエルがうるさくて眠れない」今でもこのように言われている地域もあり、それを聞いた子供は当然のことのように、「ジージー」と言う鳴き声はミミズのものだと疑いません。
そうして、その地域では「ジージー」というのはミミズの鳴き声だと浸透していくのでしょう。また、ミミズの鳴き声について書籍が販売されたこともありました。
本のタイトルは「ミミズが鳴くってほんとう?」と言うものでしたが、中身にはミミズが鳴くとは一切書いてありません。しかし、タイトルだけを見た人であれば「ミミズって鳴くんだ。」と思ってしまいますよね。
もし、あなたも周りにも「ミミズが鳴く」と思っている人がいれば、実は鳴いているのはミミズではなくケラと言う生き物だということを教えてあげてください。それが常識だと思っていた人であればきっと驚くことでしょう。
ミミズの鳴き声はケラだった? まとめ
いかがだったでしょうか?ミミズが鳴いていると思っていた方にとっては、驚きの事実だったかもしれませんね。もしも、虫がダメな人であれば「ジージー」とうるさく鳴いていても土を掘り返さないようにしましょう。
「そんな鳴き声聞いたことないよ」と言う人も、北は北海道から南は沖縄までケラは生息しています。このお話を忘れかけたころに、何処かで鳴き声を聞く機会があるかもしれません。
ミミズの声の正体はケラと言う生き物でしたが、ミミズは実に興味深い生き物です。まだまだ皆さんが知らないことも多いと思います。興味のある方はこちらの記事でも紹介していますので、併せて参考にしてください。
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