秋から春先によく見かけることのあるカマキリの卵。枝先などに付いている卵を見かけると、「子供のために持って帰ってやろう!」と思われるお父さん方も少なくないのではないでしょうか?
しかし、孵化する前の卵からカマキリの種類を見分けるのは非常に難しくなっています。今回はそんな難しいカマキリの卵の見分け方について、写真付きでご紹介していこうと思います。
孵化したカマキリの種類の見分け方についてはこちらの記事で紹介しています。良ければ併せて参考にしてください。
カマキリ 卵の種類と見分け方!名前を特定するためにはドコを見る?
カマキリの卵から名前(種類)を特定するためには、まずはこちらを確認してみましょう。
- 卵の大きさ
- 卵の形
- 卵の色
- 卵を産んでいる場所
基本的にこの2つを見て、孵化するカマキリを特定していくことになります。中には非常に似ている卵を産むカマキリも居るため、注意深く観察してみましょう。
ちなみに、カマキリの卵は非常に強くなっています。卵は正しくは卵嚢(らんのう)と呼ばれ、雪の中に数ヶ月埋まっていても、水の中に1ヶ月浸していても孵化します。こんな環境でも孵化が可能なカマキリの卵って凄いですよね。
カマキリが卵を産む場所は?種類によって違いはある?
家の壁や石、木の枝先など色々なところでカマキリの卵を見掛ける機会がありますよね。実は、意外と知られていないことですが、カマキリの種類によって産む場所には違いがあります。
ですので、卵の大きや形以外にも卵を産んでいる場所もきちんと見てください。必ずしも決まった場所にあるわけではありませんが、ある程度の判断材料にはなります。
また、孵化させたいカマキリの種類が決まっている場合には、卵がある可能性が高い場所を知ることで、効率的に探すことができるでしょう。
カマキリ 卵の大きさや形、色、産む場所の違いは?
カマキリの卵を見つけた際には「大きさ」や「形」、「色」、「卵を産んでいる場所」を見ることで種類を特定するのは先にお伝えした通りですが、1点、注意事項があります。
それは、卵から産まれてくる個体の身体の色までは特定することが出来ない。と言うことです。
何故かと言うと、同じ種類のカマキリでも緑の個体と茶色の個体が存在するからです。例えば、日本に多く生息しているオオカマキリは緑の個体と茶色の個体の割合がほぼ半々となっています。
ですので、「この卵はオオカマキリのものだな」という風にカマキリの種類の特定は出来ても、その卵から何色の個体が産まれてくるかは分かりません。詳しくはこちらの記事で紹介していますので参考にしてください。
それでは、カマキリの卵の種類の見分け方について見ていきましょう!
カマキリ 卵の種類と見分け方1 オオカマキリ
オオカマキリの卵の特徴は、なんと言ってもその大きさです。他のカマキリの種類の卵よりも数倍大きいことも珍しくありません。
形は丸い、いなり寿司のような形をしています。色はキレイな茶褐色で、基本的にススキや木の枝に産み付けられることが一般的です。
【オオカマキリの卵の特徴】
- 大きさ:大きい
- 形:丸っぽい
- 色:茶褐色
- 場所:ススキや木の枝
カマキリ 卵の種類と見分け方2 チョウセンカマキリ
朝鮮半島や中国にも生息しているチョウセンカマキリの卵は、細長く縦に2本のスジがあるのが特徴です。断面図にすると凸のような形になっており、このスジがあるか無いかで判断するのが良いでしょう。
長さはオオカマキリの卵と同じくらいで大きめですが、横幅はなく、縦長となっています。少し薄めの茶褐色で、産み付けられる場所は木の枝や幹、丈夫な草の茎というのが一般的です。
【チョウセンカマキリの卵の特徴】
- 大きさ:大きい
- 形:縦長の凸型で2本のスジが入っている
- 色:薄めの茶褐色
- 場所:木の枝や幹、草の茎などの丈夫なところ
カマキリ 卵の種類と見分け方3 ハラビロカマキリ
お腹が横広なフォルムのハラビロカマキリの卵は、他の種類のカマキリの卵に比べて色が濃くて艶があるのが特徴です。サイズは大きくも小さくもなく、普通と言えます。
また、欠けてしまっていることがありますが、卵の下側に突起があるのも覚えておくと良いでしょう。このように、ハラビロカマキリの卵は特徴が多いので比較的簡単に見分けることが可能です。
卵が産み付けられる場所は木の幹や家の壁などの硬い部分というのが一般的です。
【ハラビロカマキリの卵の特徴】
- 大きさ:普通
- 形:下側に突起がある
- 色:濃くて艶のある茶褐色
- 場所:木の幹や家の壁などの硬いところ
カマキリ 卵の種類と見分け方4 ムネアカハラビロカマキリ
外来種であるムネアカハラビロカマキリは日本に古来から生息するハラビロカマキリと間違われることが多くありますが、その卵はハラビロカマキリとは全く逆の白っぽい色をしているのが特徴です。
また、卵の真ん中に黒いスジが出来るのも見分けるためのポイントです。断面図は凹のような形になっています。
大きさは普通で、木の枝に卵が産み付けられることが一般的です。ムネアカハラビロカマキリと特定するには卵の色と黒い筋の有無を見るのが一番分かりやすいでしょう。
【ムネアカハラビロカマキリの卵の特徴】
- 大きさ:普通
- 形:凹型
- 色:白っぽい
- 場所:木の枝
カマキリ 卵の種類と見分け方5 コカマキリ
身体自体が小さいコカマキリは卵も小さく、茶褐色の卵を木の隙間や石の間に産むのが特徴です。
形は細長く、いも虫のようなフォルムとなっています。石に産み付けられた卵を持ち帰って孵化させたい場合には、無理に剥がさず石ごと持って帰りましょう。持って帰れる大きさの石ではない場合、近くの木の皮の隙間などにもあるかもしれません。
【コカマキリの卵の特徴】
- 大きさ:小さい
- 形:細長い
- 色:茶褐色
- 場所:木の隙間や石の間
カマキリ 卵の種類と見分け方6 ウスバカマキリ
ウスバカマキリの卵はコカマキリと非常に似ています。コカマキリの卵を見たことがない人はウスバカマキリの卵なのか、コカマキリの卵なのかを見分けることは非常に難しいです。
大きさは小さく形は細長い、色は茶褐色、卵が産み付けられる場所も石。と言うようにコカマキリとほとんど同じ特徴になっています。
それでは、どうやってコカマキリの卵と見分けるのかと言うと、卵の厚みを見てください。ウスバカマキリの卵の方が、僅かに厚みがあります。しかし、これは2つを見比べて初めて分かることなので、どちらか一方の卵しかない場合には区別が非常に困難です。
【ウスバカマキリの卵の特徴】
- 大きさ:小さい
- 形:細長く厚みがある
- 色:茶褐色
- 場所:石
カマキリ 卵の種類と見分け方7 ヒナカマキリ
ヒナカマキリの卵の特徴は、なんと言ってもその大きさです。10mm~20mm程度の大きさとなっているので探すのも難しくなっています。
色は茶褐色で卵の下側に細い突起があるのを覚えておきましょう。しかし、この突起は非常に脆く、折れてしまっている卵も多くあります。ヒナカマキリの卵と判断するにはやはり大きさを見るのが一番簡単でしょう。
ヒナカマキリの卵は木の幹や倒木、石などに産み付けられることが一般的です。
【ヒナカマキリの卵の特徴】
- 大きさ:とても小さい
- 形:下側に細い突起がある
- 色:茶褐色
- 場所:木の幹や倒木、石
カマキリ 卵の種類と見分け方8 ヒメカマキリ
コカマキリと同じく体長の小さなヒメカマキリは、卵の形に特徴があります。その卵は他の種類のカマキリの卵と比べ四角い形となっており、特に卵の接着面を辿ると四角いということが分かるでしょう。
色は茶褐色で、大きさはとても小さくなっていますが、コカマキリの卵よりは若干大きく石や木のくぼみに産み付けられることが一般的です。
【ヒメカマキリの卵の特徴】
- 大きさ:とても小さい
- 形:四角い
- 色:茶褐色
- 場所:石や木のくぼみ
カマキリ 卵の種類と見分け方9 サツマヒメカマキリ
サツマヒメカマキリの卵はヒメカマキリと非常に似ています。大きさは小さく形は四角い、色は茶褐色、卵が産み付けられる場所も石や木のくぼみ。と言うように同じ特徴です。
それでは、どのようにヒメカマキリの卵と見分けるのかというと、大きさを見てください。どちらも同じ小さな卵ですが、サツマヒメカマキリの卵はヒメカマキリの卵よりも一回り大きくなっています。
しかし、こちらも2つの卵を見比べて初めて分かることですので、区別を付けるのは非常に困難でしょう。
【サツマヒメカマキリの卵の特徴】
- 大きさ:小さい
- 形:四角い
- 色:茶褐色
- 場所:石や木のくぼみ
カマキリ 卵の種類と見分け方まとめ
いかがだったでしょうか?中には似た卵もありましたがそれぞれの卵に特徴があり、意外と見分けられそうですよね。成虫のカマキリを観察するのも面白いですが、自身の手で卵から孵化させてみるのも、また違った面白さがあるでしょう。
今回は日本に生息すると言われている15種類のカマキリの中から、9種類のカマキリの卵を紹介させて頂きました。「日本の中だけで15種類も存在するのか」と思われたかもしれませんが、実は世界には約2,400種類のカマキリが存在しています。
中には、「本当に実在するの?」と思うような種類も少なくありません。カマキリ好きには是非観ていただきたい、世界のカマキリはこちらで紹介しています。
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